診療報酬加算点数新設の要望書

1.要旨
 現行の胃瘻造設術の診療報酬に、新たに経皮的胃壁腹壁固定法の加算点数の新設を要望する。これにより胃壁と腹壁の離解による重篤な合併症での医療費の損失を防止し、在宅医療推進の原動力となる、経皮的内視鏡下胃瘻造設術のさらなる普及を実現するものである。


2.点数の名称
胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術を含む。)を施行時に経皮的胃壁腹壁固定法を実施した場合の加算点数の新設


3.点数表区分
K664胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術を含む。)


4.加算点数の要望
 経皮的内視鏡下胃瘻造設術を施行する際に、事前に経皮的胃壁腹壁固定法を実施した場合に、加算点数1800点を算定できるよう改正を要望する。


5.上記の理由
  経皮的内視鏡下胃瘻造設術は、長期経鼻経管栄養による誤嚥性肺炎などの合併症や、それらに伴う入院の長期化などの問題を解決し、在宅医療への移行に寄与しており、医療費の削減にも貢献している。しかし、その一方で経皮的内視鏡下胃瘻造設術にも合併症があることが知られている。特に術中及び2週間前後の術後初期に、胃壁と腹壁が離解してしまえば、汎発性腹膜炎などの重篤な合併症を引き起こし、緊急手術が必要となり、また、長期の入院が余儀なくされる。また、さらに重篤な場合には死に至ることもある。


  胃壁と腹壁の離解は、意識障害のある患者が自らカテーテルを抜いてしまうなど、胃壁と腹壁を固定するカテーテルの事故(自己)抜去によるものであるが、事前に胃壁と腹壁を縫合糸で縫合固定する、経皮的胃壁腹壁固定法を実施すれば、重篤な事態を事前に防ぐことができる。また、これまで経皮的内視鏡下胃瘻造設術の禁忌症例とされてきた、残胃症例や腹水のある症例も、経皮的胃壁腹壁固定法を実施することで適応となる。しかし、一方で経皮的胃壁腹壁固定法の保険点数はなく、また、用いられる胃壁固定具などの材料費も保険償還が認められておらず、コストならびに手間を理由に、実施されていないケースも報告されている。そこで胃壁固定具の材料費相当分と、手技にかかる技術料相当分として、加算点数1800点の新設を要望する。


 これにより経皮的胃壁腹壁固定法の施行が推進され、経皮的内視鏡下胃瘻造設術を行う際の安全性が飛躍的に向上する。合併症による医療費の損失を防止し、さらに在宅医療推進の原動力となる経皮的内視鏡下胃瘻造設術のさらなる普及により医療経済にも貢献するものと考える。


6.設定点数
加算点数1800点(経皮的胃壁腹壁固定法で用いる材料の費用は所定点数に含まれ別に算定できない)


7.新設点数、点数変更の積算根拠
材料費(胃壁固定具)13,000円+加算手技料5,000円

以上、ご査収の上、ご検討いただき、ご連絡をいただきたくお願い申し上げます。

 

ふなだ外科内科クリニック
院長 鮒田 昌貴

(松阪地区在宅栄養研究会代表世話人、HEQ研究会三重県幹事)