今から20年以上前に鮒田式胃壁固定具を考案しました。鮒田式胃壁固定具を考案し、市販化された日から、私は学術研究会などの公の場から去りました。
これから鮒田式胃壁固定具は医療の現場で、多くの先生方に利用していただき、そのことを通じてたくさんの患者さまに恩恵をもたらすことができる。そう確信していたからです。さらに、そこから得られるであろう膨大な知見については、各先生方から発表がなされ医療に生かされるはずだと。その当時、経皮内視鏡的胃瘻造設術は、まさに大きく発展・普及しようとしている時期でもありました。
私は自らに与えていただいた大きな役割を終えた安堵感とともに、それから地域医療のため三重県松阪市で日常診療に没頭する毎日が続きました。
その後は経皮内視鏡的胃瘻造設術が日本の医療の中でどのように発展してゆき、その中で鮒田式胃壁固定具はどのように生かされてきたのかを、数多くの先生方の学術論文を通して拝見してまいりました。
経皮内視鏡的胃瘻造設術は、多くの先生方のご尽力により、ひとつの大きな段階を終えたといえるのではないでしょうか。そして現在、経皮内視鏡的胃瘻造設術は、構築の段階を終え、次の段階に入りました。それはひとことで言えば再構築の段階と言えるでしょう。新たな術式や工夫が研究され、その過程で新たな道具の開発や改良も行われています。また皆さまもご存知の通り厚生労働省は胃瘻に関して縮減の方向性を示しています。
これからは症例をよく見極め、本当に必要な患者さまに胃瘻造設を行うべきと考えます。そしてそこで行われる経皮内視鏡的胃瘻造設術は患者さまにとってより安全で安心なものである必要があると考えます。
すべての経皮内視鏡的胃瘻造設術に経皮的胃壁腹壁固定法を実施すべきだと、私は主張をしております。確かにご反論やご批判もあるかもしれませんが、少なくとも患者さまのためには絶対に必要なことだと信じています。
この度、本ホームページを立ち上げ鮒田式胃壁固定具に関しての情報公開や経皮的胃壁腹壁固定法の保険適用運動などを、このホームページを通じて行いたいと考えております。また先生方の情報もぜひお寄せいただき、このホームページを通じて多くの先生方と情報共有を行いたいと考えております。これらが経皮内視鏡的胃瘻造設術と胃壁腹壁固定法を実施する方々の臨床に生かせる情報となれば幸いです。